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第04話 当たり前にやっている金型掃除、見直してみませんか?

~その”慣れた作業”が現場を疲れさせているかも~

”前話でぴかりさんも言っていた金型掃除を手作業で行うこと”、これは多くの製造現場で「昔からのやり方」として定着しています。しかし、実はこの”手作業による金型掃除”には多くの課題やリスクが潜んでいるんですよ!
え、そうなんですか?
ここではその代表的な問題点を、5つの観点から整理してみましょう。

 

 1. 作業効率の問題

  • 手作業では、1つの金型を掃除するのに数時間~数日かかることも
    生産ラインの稼働スケジュールに影響を及ぼし、生産性の低下を招きます。

  • 1度に掃除できる量が限られる
    手作業では1人が1パーツずつしか対応できず、個人差も発生するので精密ものや外観ものには不向きです。

 

 2. 品質・再現性の問題

  • 成形品質にバラつきが出る
    作業者の熟練度に左右され、個人差もあり毎回同じ仕上がりにならないという問題があります。これが成形不良の原因にもなり得ます。

  • 細部の汚れが残りやすい
    金型の溝や微細な凹凸形状に入り込んだ汚れは、ブラシやヘラでは届かず除去できません。さらに残留した可塑剤を含む汚れは錆の原因となります。

 

 3. 人的負担・人手不足の問題

  • 肉体的な疲労が大きい
    ブラッシングや磨き作業は、金型に傷をつけないように集中力が必要で更に目・腕・肩・腰に負担がかかる重労働です。

  • 誰でもできない
    汚れの付着箇所や固着状態、除去方法を見極めるには経験が必要で、若手への技術継承が進まない要因にもなっています。

 

 4. 健康への影響

  • 有機溶剤による健康リスク
    洗浄用パーツクリーナーや溶剤の中には、有害な揮発性物質を含み、吸引によるめまい・頭痛・呼吸器障害、皮膚のかぶれ・炎症などを引き起こす恐れがあります。

  • 長時間の姿勢負担
    かがみ込んでの作業や同じ姿勢が続くことで、腰痛や腱鞘炎といった慢性的な身体トラブルにつながることも。

 

     5. 環境への影響

    • 消耗品の廃棄処理問題
      溶剤やスプレー缶、使用済みウエスは使用後に産業廃棄物として処理が必要です。不適切な処理は環境汚染や法令違反のリスクを伴います。

    • 揮発性物質による作業環境の悪化
      有機溶剤などは空気中に揮発・飛散し、工場内の環境を悪化させることもあります。

     

     

    この様に、手作業による金型洗浄は、実は目に見えにくいコストやリスクがたくさん潜んでいるんですよ。
    「昔からのやり方だから」とか「設備にお金をかけられないから」といった理由で続けていると、作業効率の低下、人材への負担、品質のバラつき・・・それに健康への影響や環境問題にまで発展する可能性があるんです。
    うーん・・・効率や品質のことはなるほどって思ったんですけど、まさか健康とか環境にまで関係してくるなんて、正直びっくりです。
    ええ。だからこそ、「当たり前を見直す」タイミングなのかもしれませんね。

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